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新着一覧

2022.12.23

「季刊 自治と分権」90

 新型コロナ危機、異常な物価高騰による生活破壊が進行する中、住民のいのちとくらしを守る自治体の役割と責任が問われています。新自由主義に基づく「構造改革」で進められてきた自治体職員の削減と非正規化、アウトソーシングが、自治体の役割を放棄するものであることが新型コロナ危機のもとで明確になっています。「構造改革」で失われた公共を住民の手に取り戻すことは待ったなしの課題になっています。このような中、全国の自治体では、水道の民営化や窓口業務の民間委託をストップさせたり、「公共の再生」を公約にかかげる首長が誕生するなど、新しい兆しが見え始めています。本号では、住民のいのちとくらしを守り、公共を住民の手に取り戻すための政策、運動の課題について考えます。
2022.09.29

「季刊 自治と分権」89

 新型コロナ危機で、住民のいのちとくらしを守る自治体職員の役割の重要性が明らかになりました。しかし自治体では、これまでの「構造改革」による人員の削減により長時間・過密労働が蔓延し、過労死ラインを超えて働かされる深刻な人権侵害が起こっています。使用者が「臨時の必要がある」とさえ認めれば、上限なしに職員を働かせることができる労働基準法33条の規定が長時間労働を一層深刻にしています。また自治体では、職員の半数近くが民間の非正規雇用よりもさらに労働条件が劣悪な会計年度任用職員で働かされています。本号では、新型コロナで浮き彫りになった自治体職員の労働実態の問題を明らかにするとともに、人員増、労働時間規制、雇用継続、賃上げなど処遇改善への課題を考えます。
2022.07.06

「季刊 自治と分権」88

 新型コロナ感染症で、国民の生活、雇用、中小業者の営業が困難に陥っています。国民の生活を保障するための様々な施策が国と自治体において検討、実施されています。しかし国民の生活保障の土台となる日本の生活保護基準は極めて低く、憲法25条に基づき、国民のくらしの実態をふまえた「健康で文化的な生活」の基準が定められなければなりません。一方で財界や新自由主義の立場からは、一定の現金一律給付だけで社会保障や教育を国民(住民)の自己責任におしつけようとする「日本型ベーシックインカム」が検討されています。このような動きの中で、憲法に基づく国民の生活・所得の保障とナショナルミニマムのあり方と国と自治体の責務について考えます。
2022.06.23

研究と報告142 個人情報保護法の改正と自治体  本多滝夫(龍谷大学教授)

昨年(2021年)5月に、いわゆるデジタル改革関連法が成立しました。デジタル改革関連法といえば、デジタル庁の設置のことだと思う方も多いでしょう。デジタル改革関連法は、デジタル庁の設置を定めたデジタル庁設置法だけではなく、これからの日本社会のデジタル化を進めていくというデジタル社会形成基本法、デジタル社会の形成に関する施策を実施するために63本の法律を一括して改正するデジタル社会形成関係法律整備法、自治体の情報システムの標準化を進める地方公共団体情報システム標準化法など6法律から成っています。デジタル改革関連法が進めようとするデジタル社会の形成、いいかえれば社会全体のデジタル化とは、データを自由に流通させることと、自由に流通させたデータをシステム相互の間で連携させることを目指すものです。
2022.03.25

「季刊 自治と分権」87

 SDGs(Sustainable Development Goals-持続可能な開発目標)は、2015年に国連で採択された目標です。2030年を期限として「誰一人取り残さない社会の実現」をスローガンに、「世界を持続可能かつ強くしなやかな道筋に移行させる」として、「貧困と格差の是正」「気候変動の打開」「ディーセントワークの実現」「平和で公正な社会」「ジェンダー平等の実現」など17の目標をかかげています。
 一方で、SDGsは目標の達成基準や達成への責任の主体は不明確です。日本政府はSDGsを「地方創生」戦略に取り込んでいますが、「実施方針」(2019改訂版)では、「貧困の解消」や「格差の是正」にはふれていません。また政府と財界は、SDGsの名のもとに「society5.0を実現する」としてプライバシー権を侵害する「スーパーシティ構想」を進めたり、「脱炭素・クリーンエネルギーを実現する」として原発を推進しています。SDGsの名のもとに現在行われている諸施策については検証が必要です。本号では、国連が進めるSDGsの現状と課題について考え、真に持続可能な社会への道筋を探求します。
2021.12.23

『季刊 自治と分権』86

 日本政府・財界は1980年代の臨調「行革」、2000年代からの「構造改革」において、国や自治体の公共サービスを縮小・民営化する政策を推し進めてきました。現在も「公的サービスの産業化」の名のもとに、公共サービスを民営化し、民間大企業の営利追求の対象に開放しています。一方で民営化は、サービスの質の低下、住民の人権保障機能の低下、企業との癒着、コスト増などの問題をもたらし、各地の自治体で直営に戻す動きも現れています。また日本政府が民営化の手本にしていたイギリスなど欧米諸国ではいま、労働組合・市民・研究団体の連携した取り組みで民営化された公共サービスを直営に戻す新しい動きが広がっています。
 本号では、公共サービスの民営化をめぐる現状と問題点を取り上げ、日本における公共サービスの再公営化に向けた課題と展望を考えます。
2021.10.05

「季刊 自治と分権」85

 世界経済フォーラム(WEF)が国別に男女格差を数値化した「ジェンダーギャップ指数2021」で日本は、調査対象となった世界156カ国中120位で、先進国の中では最低です。ジェンダーの問題が歴代の政権や財界などによって放置・助長されてきたことにより、今日の政治や社会と文化、国民生活のあらゆる分野で深刻な人権侵害をもたらしています。コロナ禍の下で、日本のジェンダー不平等が一層浮き彫りになっています。支配者によって歴史的に作り出されてきた「男らしく」「女らしく」という強制から脱却し、日本国憲法に基づく基本的人権を誰もが享受できるジェンダー平等の社会を実現させることが日本の社会において欠かすことのできない重要な課題になっています。本号では、ジェンダー平等を実現させるための課題と、自治体に求められる役割について考えます。