季刊 自治と分権

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No.91 /
2023.03

季刊 自治と分権 91号

 2023年春に実施される統一地方選挙は、これからの国と地方の進路を左右する重大な政治戦になります。新型コロナと異常な物価高騰で住民のくらしが困窮し、政府が敵基地攻撃能力(反撃能力)の保有など「安保3文書」を閣議決定して軍事大国化に踏み出す中で、平和憲法を守り、住民福祉の増進を図る役割を担う自治体のあり方が鋭く問われています。本号では、今日の地方政治をめぐる焦点と課題について、住民のくらし、地方議会、住民自治の視点から考えます。

91号は、特集が「地方政治を問う -くらし、議会、政治」。

 特集論文では、岡田知弘氏(京都橘大学教授・京都大学名誉教授)に「地方自治と地域再生の危機にどのように立ち向かうか」。松田亮三氏 (立命館大学教授)に「「コロナ後」に向けた地方公衆衛生行政の課題―地方制度との関りで―」。松山洋氏(全国保険医団体連合会事務局主幹)に「医療DX」がもたらす医療の変容―オンライン資格確認、保険証廃止の狙い―」。武藤貴子氏(「子どもたちにもう1人保育士を!」実行委員会、自治労連保育部会事務局長)に「子どもたちにもう1人保育士を―いまこそ!山を動かそう!―」を執筆いただきました。

 随想は本多滝夫氏(龍谷大学教授)。「自衛官募集対象者情報の提供と自治体の自主解釈権」で、2021年2月の防衛省、総務省が共同して発出した通知を契機に、募集対象者の名簿を紙媒体等で提供する市区町村が増えているようだ。2020年度の「地方分権改革に関する提案募集」において法改正の提案がされたが、法改正に至らなかった以上、名簿の提供は違法のままだ。4月から個人情報保護法が自治体の執行機関にも適用されることになったが、基本4情報も含めて住民の個人情報を保護するために、自治体が自主解釈権を積極的に行使することを期待したいと。

 首長インタビューは、静岡県函南町・仁科喜世志町長。「自分の生まれ育った、大好きな函南の町を明るく元気にしたい」という仁科町長。豊かな自然環境を守りいかすまちづくり、福祉、平和への思い、自治体職員への期待について熱く語って頂きました。

「季刊 自治と分権」91号の内容は下記のとおりです。

 

 1) 随想  自衛官募集対象者情報の提供と自治体の自主解釈権

    本多滝夫(龍谷大学教授)

 2) 首長インタビュー    静岡県函南町長 仁科喜世志さん

                インタビュアー 山口真美(弁護士/編集委員)

 3) 特集  「地方政治を問う -くらし、議会、政治」

  • 特集論文

   「地方自治と地域再生の危機にどのように立ち向かうか」

    岡田知弘(京都橘大学教授・京都大学名誉教授)

   「「コロナ後」に向けた地方公衆衛生行政の課題 ―地方制度との関りで―」

    松田亮三 (立命館大学教授)

   「医療DX」がもたらす医療の変容 ―オンライン資格確認、保険証廃止の狙い―」

    松山洋(全国保険医団体連合会事務局主幹)

   「子どもたちにもう1人保育士を ―いまこそ!山を動かそう!―」

    武藤貴子(「子どもたちにもう1人保育士を!」実行委員会、自治労連保育部会事務局長)

4) 論文

    「地方議会の改革課題を考える ―第33次地制調答申にも触れて―」

     榊原秀訓(南山大学教授)

5) 現場レポート

   「「岡山県家庭教育応援条例」反対の取り組みとその影響」

     黒部麻子(フリーライター)

   「与謝野町中小企業振興基本条例施行10年 ―現在の状況と今後の展開について―」

     井上公章(与謝野町商工振興課)

 6) 弁護団レポート

   「春日部市学童保育住民訴訟について」

     小内克浩(弁護士)

 7)  自治の歴史と文化 第12回

   「現日本国憲法へとつながる明治期「湘南社」の主権論」

     岩崎稔(雨岳民権の会会員)

 8)  ブックレビュー

 9)  自治体日誌