2019.04.16 研究と報告133 文化財の保存から活用へ 現状と課題 泰井良(静岡県立美術館上席学芸員、美術史家) 「アベノミクス」に象徴される政府の経済政策は、大企業や高額所得者を優遇し、労働者や国民の生活・福祉を軽視するものに他なりません。同様に、文化政策においても、政府は、「稼ぐ文化」に傾倒し、文化財の保存・継承よりも、活用を優先させるという偏った政策に舵を切ろうとしてます。 本稿では、政府の主な文化政策の現状と課題を分析したうえで、今後の文化財及び文化政策、美術館・博物館は、どうあるべきかについて考察しています。
2019.03.27 「季刊 自治と分権」75 辺野古の埋め立て強行、10月からの消費税率の引き上げ、憲法9条改悪議論など、国民要求と安倍政権による国政の乖離がより鮮明になってきています。参議院選挙を7月に控え、いま国と地方の進路が問われています。特集では、「安倍政権の9条改憲」「米軍基地問題と日米地位協定」「消費税」の側面から国と地方の進路について問いかけています。
2019.01.29 研究と報告132 「平成30年7月西日本豪雨」による愛媛県内の被害状況と課題 高尾佳孝(愛媛労連副議長/自治労連愛媛県本部 執行委員長) 「平成30年7月西日本豪雨」による愛媛県内の被害状況を県内でも被害の特に大きかった大洲市・西予市・宇和島市の3市での、発生要因や被害内容さらには地域特性による課題などを詳しく説明。平成の大合併によって「市」の規模は大きくなる一方で、職員数は大きく削減。こうした状況で今回のような広域かつ大規模災害が発生した場合、避難誘導や避難所開設など、住民の命を守る基本的な対応に大きな課題があることが露呈。 職員は災害発生直後から極限状態で住民の命を守るために懸命に活動し続けましたが、それでも野村地区で5人の尊い命が失われてしまいました。 本稿では、改めて本来あるべき自治体の役割と、それを担うだけの職員数について考える必要性と、もう一つの命の砦である医療体制の課題や、災害時におけるライフラインの確保、職員の確保の観点からも早急な対策の必要性を明らかにしています。
2018.12.27 「季刊 自治と分権」74 今号の特集は、「『権力への忖度』か、憲法に基づく『全体の奉仕者』か」をテーマに、元文部科学事務次官の前川喜平氏、専修大学の晴山一穂名誉教授、自治労連弁護団の山口真美弁護士、自治労連の猿橋均中央執行委員長の新春鼎談。それぞれの立場から、自治体職員をめぐる現状と問題についてや、憲法をいかし、自治体職員が「『全体の奉仕者』としての役割を発揮するための展望」などを明らかにしています。自治体公務公共労働者にとって必見の内容です。
2018.12.17 研究と報告131 「平成30年7月豪雨災害」からの復旧4ヶ月―倉敷市真備地区を中心に(桒田但馬 岩手県立大学准教授) 2018年7月、記録的な豪雨により、広域にわたって甚大な被害をもたらした「平成30年7月豪雨災害」は各地で河川氾濫や土石流、流木などを引き起こし鉄路や、国道を含む道路を寸断、多くの死者、行方不明者など未曽有の被害をもたらしました。 本稿では、発災から4ヶ月間で2度、真備地区を訪問し、現地の実態調査や被災者へのインタビュー調査などを行った筆者が、真備地区を中心に西日本豪雨災害から4ヶ月の復旧状況の実態を明らかにし、産業復旧に関する公的支援の当面の課題について考察しています
2018.11.26 研究と報告130 老人医療無料化発祥の地~旧沢内村(現・西和賀町)で、「いのちの灯」建立35周年の集いを開く(NPO法人「輝け『いのち』ネットワーク」 代表 高橋典成) 1960年12月1日、岩手県旧沢内村が65歳以上の高齢者を対象に、老人医療費無料化を全国で初めて実施した。その後、全国の人たちの呼びかけで「老人医療費無料化発祥の地」を顕彰する記念碑「いのちの灯」が、1983年12月1日に沢内病院前庭に建立されました。 本年、10月14日に開催された、建立35周年を記念する集いの報告を掲載します。
2018.10.16 「季刊 自治と分権」73号 いま、総務省では、地方議会、議員、町村議会の「あり方改革」が検討されています。特集論文では、「町村議会の権限を限定する方向性」にあるとし、「個別自治体の自治を制限して圏域での合意形成を容易にしていく仕組みづくりの一環」であると「自治体戦略2040構想研究会」報告との関連性を指摘しています。
2018.08.21 研究と報告129 憲法は生きているか「沖縄のいま」-平和・環境・人権―憲法と自治のいきる島をめざして(おきなわ住民自治研究所 湧田廣) 憲法施行から71年余、沖縄が日本復帰して46年経過した今日、沖縄はいま大きな転換点に立っています。 今年、11月18日実施予定の沖縄知事選挙は、翁長知事の急逝(8月8日)を受けて、9月13日告示・30日投開票となりました。 本稿では、沖縄をめぐる基地問題や地方自治について考察しています。
2018.07.24 研究と報告128 自治体戦略2040年構想研究会報告の概要と課題 角田英昭(自治体問題研究所) 2017年10月に総務省に設置された自治体戦略2040構想研究会は、第1次報告(4月)、第2次報告(7月)を相次いで公表しました。 研究会の戦略目標は、「人口縮減時代の新たな社会像の構築、基本施策の開発、自治体行政の大胆な書き換え」であり、市町村行政のフルセット主義からの脱却、スマート自治体への転換、「圏域」単位での行政の推進が目論まれています。 本稿では報告書の問題点と課題、内容の検討、今後の取組みについて考察しています。
2018.06.27 「季刊 自治と分権」72号 特集は、「憲法「改正」と自治体」をテーマに、専修大学の晴山一穂名誉教授、上智大学の中野晃一教授、弁護士の杉井静子氏、全国生活と健康を守る会連合会の田川英信氏の論文で構成。安倍改憲や暮らしの中で起こる課題など自治体職員、公務公共の在り方を考える内容です。自治体公務公共労働者にとって必見です。
2018.06.26 研究と報告127 「堺市職員の政治的行為の制限に関する条例案」について、堺市議会における晴山一穂参考人(専修大学名誉教授)の発言と質疑 晴山一穂(専修大学名誉教授) 2017年堺市議会第2回定例会において、堺市職員の政治的行為の制限に関する条例案が大阪維新の会の議員より提出され、翌年2月16日、堺市議会総務財政委員会での参考人質疑に、自治労連・地方自治問題研究機構運営委員の晴山一穂氏(専修大学名誉教授)が参考人として出席し、陳述しました。 同条例案に関わる晴山氏の参考人発言と質疑に関わる箇所について、議事録より抜粋したものを掲載します。
2018.04.16 「季刊 自治と分権」71号 特集は、「自治体職員の『働き方改革』を問う」をテーマに明治大学の黒田兼一教授、茨城大学の清山玲教授、諏訪東京理科大学の山縣宏寿講師の論文で構成。長時間労働や成果主義、非正規雇用の拡大など「全体の奉仕者」としての自治体労働者の在り方が問われる今、「誰のため、何のために公務労働があるのか」を深めるための好テキストになっています。自治体公務公共労働者にとって必見です。
2018.04.10 研究と報告126 翁長沖縄県知事によって具体化される地方自治 村上博(広島修道大学教授) 辺野古新基地建設を巡る沖縄県と国との対立は、憲法を破壊しようとする安倍政治と憲法を守りいかそうとする翁長政治の対立です。翁長知事は「辺野古の問題は、沖縄県だけの問題ではありません。まさしく、地方自治の根幹に関わる問題であり、ひいては民主主義の根幹に関わる問題であります」と翁長知事は述べています。 本稿は、辺野古基地訴訟において表明された翁長知事の発言を中心にして、日本国憲法が保障する地方自治の在り方を考察しています。
2018.02.27 研究と報告125 高齢者福祉における大津市の取り組み 小澤薫(新潟県立大学准教授) 滋賀県大津市では、地域高齢者を様々な面から総合的に支える「あんしん長寿相談所」(地域包括支援センター)に保健センターの機能を果たす「すこやか相談所」併設している。 地域包括支援センターと保健センターを併設することで、地域の拠点として妊娠期から高齢期のすべての人を対象としたワンストップで相談できるしくみを整備している。 本稿は、2017年12月に地方自治問題研究機構の社会保障・社会福祉研究会が実施した大津市の現地視察をもとに、高齢者介護・福祉における措置業務を中心とした大津市の取り組みについて解説しています。