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2017.02.01

研究と報告115 公立保育所の整備・運営にかかる国の財政支援 ―廃止・民営化の理由を「一般財源化」に求めることは不当― 木村雅英

不充分だが保育所の数、定員は増えている。しかし公立保育所は減少している。
保育所の総数が増え、さらに新増設が求められながら、なぜ公立保育所が減少しているのか。
保育需要が増大しているのに公立保育所を統廃合する「理由」として多用されているのが「公立保育所の運営費・施設整備費への国の補助金が“一般財源化”によってなくなったが、私立保育所への国及び都道府県の財政負担は存続しているから」である。
本稿では、第一に市町村が多用する廃止・民営化の「理由」が事実なのかを資料等によって検証する。第二に市町村が公立施設として整備(新設、改築、合築など)する場合、どのような財源確保がありうるかを検討する。第三に保育所等を公立施設として存続・整備する意義を考察する。
2016.12.22

「季刊 自治と分権」66号

今号は最新の渡辺治論文「安倍政権を倒し平和と福祉の地域と日本をつくる展望―共同の力を『地域』から国政へ―」を掲載。「決戦の年」2017年を迎えるにあたって必読です。
2016.11.02

研究と報告114 沖縄辺野古訴訟高裁判決と地方自治 村上博(広島修道大学教授) 

福岡高裁那覇支部の判決が、2016年9月16日に出されました。裁判所は本来、第三者としての立場で審理・判断を行うはずの機関ですが、本件裁判所はそのような立場を投げ捨て、沖縄防衛局長と同じ立場で判断を行っています。その結果、本判決は法治主義と地方自治を真っ向から否定する内容になっています.
村上博先生に、この判決の問題点について地方自治の観点から論じていただきました。

(全国キャラバンについて;編集部注)
「辺野古訴訟支援研究会」は、この不当判決の問題点を明らかにし、世論を喚起し、最高裁に対する取り組みを強めるために、同研究会に属する研究者の皆さんによる全国キャラバン(学習講演会)を全国各地で開催しています。
「辺野古訴訟支援研究会」は、辺野古訴訟において沖縄県をバックアップすることを目的に結成された行政法学者等で構成する研究会で、新基地建設に反対する全国から寄せられた義捐金でつくる辺野古基金からの補助も受けています。代表は紙野健二名古屋大学教授、事務局長は本多滝夫龍谷大学教授。お二人以外にも白藤博行専修大学教授、榊原秀訓南山大学大学教授、岡田正則早稲田大学教授、村上博広島修道大学教授など自治労連・地方自治問題研究機構にかかわる研究者のみなさんがその中心を担っています。
2016.09.23

研究と報告113「西尾方式PFIの問題点と法的検討」弁護士 渥美雅康

愛知県西尾市のPFI事業は、160を超える施設の整備・運営・維持管理をSPCに一括委託することをはじめ、全国にも例がないやり方で、西尾方式PFIと言われる。
地元の建設業災害防止協会や西尾市職員組合も参加して「西尾市のPFIを考える会」が立ち上げられ、市民集会やデモ、反対署名などが展開された。
このPFI事業の法的問題点ついて、渥美雅康弁護士が報告する。
2016.08.10

地方創生の国交付金で撤退企業を救済か 7保育所等を統合し630人の「こども園」 大阪府阪南市 木村雅英(地方自治研究者)

阪南市(大阪府)が、すべての公立幼稚園(4園)と保育所(3所)を1か所に統廃合し、630人の認定こども園等を開設しようとしている。開設場所は大型家電量販店(ヤマダ電機)の空き店舗。国の地域再生戦略交付金(内閣府)で購入し、都市再構築戦略事業(国土交通省)でリフォームし、一般財源で定期借地料を肩代わりする。撤退企業の救済策とも言えそうだ。
計画の第1の特徴は、地域の公立保育所等を市内1か所に集中させること、しかも交通量の多い国道沿いに移転することにある。第2の特徴は、定員630人の大規模なこども園に変身させることにある。子どもの育ちと子育て支援からみて問題だ。
第3の特徴は、政府(内閣府・国土交通省)や与党(公明党)国会議員が深く関わり、しかも「地方創生」の国交付金だからこそ、空き店舗購入に使えることである。政府が地方自治体を振り回し、国交付金を撤退企業の救済に使うことは問題だ。
第4の特徴は、秘密裏に協議を進めたことだ。しかも保護者、市民の住民投票実施請求署名も一蹴して計画を推進している。民主的な市政の在り方として問題だ。
本稿が、保育所等の施設整備の在り方の検証、「地方創生」予算の使われ方の検証、「子育てしやすい地域づくり」の政策検討に資することを期待する。
2016.07.29

第31次地制調答申と地方独立行政法人-窓口業務の包括委託を中心に-村上博(広島修道大学教授)

地方独立行政法人に地方自治体の窓口業務を包括的に処理させること等を内容とする第31次地方制度調査会の「人口減少社会に的確に対応する地方行政体制及びガバナンスのあり方に関する答申」が2016年3月16日に出されました。この答申を踏まえ、総務省は
早ければ今年秋の臨時国会にも地方自治法等の改正法案を提出すると言われています。そこで答申の内容を概説し、地方独立行政法人問題について検討します。
2016.05.09

研究と報告109 指定管理76788施設に導入、指定取り消し等も2308件に 角田英昭

総務省は2016年3月、「公の施設の指定管理者制度の導入状況等に関する調査結果」(2015年4月1日現在)を公表した。この制度は、地方自治法の一部改正により2003年9月に施行され、その後3年間の経過措置を経て2006年9月から本格実施された。それに伴い総務省は2006年、2009年、2012年と3年ごとに導入状況調査を行い、その結果を公表してきた。今回の調査もそれに続くもので、その概要は下記の通りである。 
導入施設数は既に76,788施設になり、現在も増え続けている。最大の問題は、指定取り消し、業務停止、期間満了取り止め(以下「指定取り消し等」)が、今回の調査でも2.308件あり、制度の本格実施以来9年間で6.823件にもなっている。その結果、直営に戻すものもあるが、住民の福祉の向上を図るために設置された公の施設の多くが休止・廃止、民間譲渡等に追い込まれている。これは由々しき事態であり、適用施設の限定、制度の廃止をも含む抜本的な見直しが必要である。