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2021.02.03

書籍『「公共私」・「広域」の連携と自治の課題』のご紹介

地域と自治体第39集 『「公共私」・「広域」の連携と自治の課題』

 本書は、総務省の自治体戦略2040構想研究会の報告書公表とその後の第32次地方制度調査会の設置を受けて、自治体問題研究所と自治労連・地方自治問題研究機構が合同で2019年3月17日に設置した「自治体戦略2040問題研究会」の研究成果の一つである。この合同研究会は、両組織が類似の関心をもち、両組織の研究会に参加する研究者もおり、各々が独自に研究を進めるよりも、共同して研究を進めた方が都合が良いだけではなく、幅広い情報を共有し、多様な専門分野の知識・経験を検討に活用することが有用で、このような研究の方が、地方自治に関わる各分野、各地の取組に研究成果を効率的に活かすことができると考えて設置されたものである。

 研究会では、2020年6月26日に地制調の最終答申に示された論点について、その背景にある基本政策・考え方や既存の制度の実態等を踏まえて検討し、問題点や課題を明らかにしてきた。概ね3ヶ月に1回ほどのペースで研究会を行い、地制調最終答申が公表されたことから、2020年8月23日に第8回の研究会を開催して、活動を終了した。研究成果は、それぞれの組織が、「住民と自治」や「季刊 自治と分権」などにおいて発表すると同時に、2019年12月18日には、公開シンポジウムを開催してきた。

 本書では、研究会の終盤に広がった新型コロナウイルス感染症への対応にも触れつつ、多様な専門領域における研究者が、地制調答申までの内容を、より基本的枠組みや既存の制度の実態についての分析も含めて、4部構成で検討した。読者の皆さんが自らの関心のある箇所から読みことができるものとなっている。

 

自治体研究社  https://www.jichiken.jp/book/9784880377209/

【目次】

第Ⅰ部 「地方自治制度改革」の論点

1章 安倍・菅政権の「国家戦略」を読み解く

岡田知弘

2章 コロナ禍から考える第32次地制調答申の論理と地方自治の原理

白藤博行

3章 地方行政デジタル化の論点―自治体DXと地方自治

本多滝夫

 

第Ⅱ部 「公共私の連携」論を読む

4章 住民生活の実態と「公共私の連携」

浜岡政好

5章 「小さな拠点」形成政策に関する批判的検討

関 耕平

6章 公共私連携の法制度をめぐって

門脇美恵

 

第Ⅲ部 「広域連携」論を読む

7章 地制調の広域連携論―その論点―

山田健吾

8章 連携中枢都市圏の現状と課題

中山 徹

9章 連携中枢都市圏・定住自立圏の実態と広域連携論

平岡和久

10章 市町村合併を考える―合併特例法を中心に―

角田英昭

 

第Ⅳ部 自律・自治の自治体論

終 章 自律・自治の自治体間連携と地方議会

榊原秀訓