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新着一覧

No.110 /
2016.07.29

第31次地制調答申と地方独立行政法人-窓口業務の包括委託を中心に-村上博(広島修道大学教授)

地方独立行政法人に地方自治体の窓口業務を包括的に処理させること等を内容とする第31次地方制度調査会の「人口減少社会に的確に対応する地方行政体制及びガバナンスのあり方に関する答申」が2016年3月16日に出されました。この答申を踏まえ、総務省は
早ければ今年秋の臨時国会にも地方自治法等の改正法案を提出すると言われています。そこで答申の内容を概説し、地方独立行政法人問題について検討します。
No.109 /
2016.05.09

研究と報告109 指定管理76788施設に導入、指定取り消し等も2308件に 角田英昭

総務省は2016年3月、「公の施設の指定管理者制度の導入状況等に関する調査結果」(2015年4月1日現在)を公表した。この制度は、地方自治法の一部改正により2003年9月に施行され、その後3年間の経過措置を経て2006年9月から本格実施された。それに伴い総務省は2006年、2009年、2012年と3年ごとに導入状況調査を行い、その結果を公表してきた。今回の調査もそれに続くもので、その概要は下記の通りである。 
導入施設数は既に76,788施設になり、現在も増え続けている。最大の問題は、指定取り消し、業務停止、期間満了取り止め(以下「指定取り消し等」)が、今回の調査でも2.308件あり、制度の本格実施以来9年間で6.823件にもなっている。その結果、直営に戻すものもあるが、住民の福祉の向上を図るために設置された公の施設の多くが休止・廃止、民間譲渡等に追い込まれている。これは由々しき事態であり、適用施設の限定、制度の廃止をも含む抜本的な見直しが必要である。
No.108 /
2015.09.29

研究と報告108 地方版人口ビジョン&総合戦略の策定状況とその内容、課題 角田英昭(地方自治研究者)

政府は2014年12月に「まち・ひと・しごと創生法」に基づき人口減対策としての「長期ビジョン」と今後5カ年の総合戦略を策定し、関連予算・支援措置を決定した。これを受けて、各自治体は2015年度中に地方版総合戦略と人口ビジョンを策定する。
10月末までに策定した自治体には1団体当たり1000万円が交付される。8月14日の締切日までの申請状況は、都道府県が36団体(81%)、市区町村が698団体(40%)である。策定に向けては、既存の総合計画との整合性や人材・ノウハウの確保、重要業績評価指標の設定、PDCAサイクルの導入、効果検証等が求められ、民間シンクタンクへの丸投げや地域間格差の拡大も懸念されている。そのため政府は相談窓口の設定、人材支援、膨大なビッグデータの活用、細かな政策パッケージを示し、財政誘導も行って国の戦略・方針の徹底を図っている。
その中で、いま自治体の立ち位置、基本方針、進め方が問われている。大事なことは地域にしっかり根をおろし、住民、職員、議員、地元企業、研究者等の参加で地域挙げての計画、地域づくりを進めていくことである。政府はこうした自治体の自主的、自律的な取組を支援し、雇用や福祉、教育等で基盤整備を早急に行うべきである。全国市長会も今年5月、医療・教育はナショナルミニマムとして国が責任を持ち、子どもの医療費等は国が一律負担、無償化すべきと提言している。
ここではこうした現況を踏まえ、業界紙や一般マスコミ、自治体広報等に掲載された記事・情報等から、各自治体での地方版人口ビジョン、総合戦略の策定状況と検討内容、課題をまとめてみた。今後の活動に活かしていただければ幸いである。
なお、この問題は公共施設等総合管理計画や合併算定替廃止に伴う交付税減額等とも連動しており、これらも含めて総合的に検討していくことが必要である。
No.107 /
2015.02.19

研究と報告107 原発避難自治体の「町外コミュニティ」構想と自治体再建の課題 角田英昭(地方自治研究者)

東日本大震災、福島原発事故が発生して4年が経過しました。今も故郷に戻れない原発避難者は12万人以上(うち県外避難者は4.6万人)もおり、先の見えない長期の避難生活を強いられています。避難自治体では、2012年春以降、避難指示区域の見直しが行われていますが、双葉郡等では今も放射能汚染は深刻な状態にあり、早期の帰還は困難です。
こうした中で、町外に避難した人達の多くは、現在も原発避難者特例法に基づく特例措置で避難先の自治体から福祉や教育のサービスを受けており、その受給実態を把握し、必要な改善措置を講じていくことは急務です。
同時に、安定した生活の拠点づくり、自治体機能の拡充、再建も焦眉の課題です。町民の意識も避難が長期化する中で変化してきており、復興庁の住民意向調査によれば「町に戻らない」が急増しています。政府も2013年12月の閣議で復興指針を見直し、これまでの全員帰還方針(目標)を断念し、避難先に定住する場合の賠償措置の追加も決めました。
こうした状況を踏まえ、ここでは双葉郡4町(双葉町、大熊町、浪江町、富岡町)で具体化されている仮の町「町外コミュニティ」の到達点と自治体再建の課題について考えてみたいと思います。
No.106 /
2014.09.05

研究と報告106 増田「極点社会・自治体消滅論」のねらいと戦略を検証する

日本創成会議のいわゆる増田レポートは地方に衝撃を与えました。なぜ、このようなセンセーショナルな形で公表したのでしょうか。中央公論の特集には「特集-壊死する地方都市、戦慄のシミュレーション」とまで書かれています。発表後、当該自治体、住民には少なからず危惧や動揺が広がっており、6月議会で質問が集中した自治体もあります。これは厳しい条件の中でも頑張っている自治体、地域住民の日々の努力や営みを否定し、意図的、戦略的に自治体の再編、地域の切り捨てを図る攻撃であり、事実に即した検証が必要です。

 角田英昭(自治体問題研究所常務理事)