research-note

2015年 2月 アーカイブ

No.107 /
2015.02.19

研究と報告107 原発避難自治体の「町外コミュニティ」構想と自治体再建の課題 角田英昭(地方自治研究者)

東日本大震災、福島原発事故が発生して4年が経過しました。今も故郷に戻れない原発避難者は12万人以上(うち県外避難者は4.6万人)もおり、先の見えない長期の避難生活を強いられています。避難自治体では、2012年春以降、避難指示区域の見直しが行われていますが、双葉郡等では今も放射能汚染は深刻な状態にあり、早期の帰還は困難です。
こうした中で、町外に避難した人達の多くは、現在も原発避難者特例法に基づく特例措置で避難先の自治体から福祉や教育のサービスを受けており、その受給実態を把握し、必要な改善措置を講じていくことは急務です。
同時に、安定した生活の拠点づくり、自治体機能の拡充、再建も焦眉の課題です。町民の意識も避難が長期化する中で変化してきており、復興庁の住民意向調査によれば「町に戻らない」が急増しています。政府も2013年12月の閣議で復興指針を見直し、これまでの全員帰還方針(目標)を断念し、避難先に定住する場合の賠償措置の追加も決めました。
こうした状況を踏まえ、ここでは双葉郡4町(双葉町、大熊町、浪江町、富岡町)で具体化されている仮の町「町外コミュニティ」の到達点と自治体再建の課題について考えてみたいと思います。