2013.11.20

トピックス ドイツ再生可能エネルギー視察報告会

11月14日自治労連会館で、静岡自治労連林克委員長によるドイツの再生エネルギー視察の報告会がありました。
この報告会では「原発ゼロ、自然を資源にした循環型社会は可能だ」として、ドイツの地方都市フライブルグでの事例が中心に報告されました。

再生エネ報告集会02ドイツでは政府によるエネルギー・シフト戦略がすすめられています。この目標設定は、電気ベースで2030年までに50%、2050年までに80%を再生エネルギーに置き換えるというものになっています。
このエネルギー・シフト戦略は①家庭やオフィスの熱エネルギーの削減による省エネルギー政策、②地域暖房、熱供給と発電の組み合わせなどによるエネルギーの高効率化、③協同組合方式での市民発電などの再生エネルギー推進などの総合的な政策パッケージになっており、地域単位でのエネルギー自立単位をつくり広げていくという取組みにもなっています。
 自治体もエネルギー・シフトを推進していくために、エネルギー自立地域をつくるための計画をつくり、住民参加の協同組合を設立して自治体も信用供与を行って資金集めに寄与しています。
ドイツ第二の都市ハンブルグ(人口170万人)では、住民投票でエネルギー供給権を取り戻し、自治体がエネルギー転換の実権を握った。また、産業革命で裸になっていた近郊の森を「黒い森」として蘇生する取り組みをすすめられました。
この森林資源と連動してドイツ全体で住宅に森林資源を活用する省エネリフォームが推進され、フライブルグ市でも市営住宅や一般住宅が連邦補助金を使ってリフォーム改修され、それによってエネルギー消費が5割から6割が削減された。これらには、市の都市計画や住宅政策が強力な権限を発揮しました。交通政策も、第一は自転車(シェアー率35%)、第二に公共交通機関(シェアー率30%)で、自家用車利用は抑制されて、ガソリン消費の削減が図られています。
これらが省エネルギー政策としてすすめられ、次いでバイオマス燃料などによる暖房や飲料のための暖房が地域単位ですすめられ、エネルギーの高効率化政策もすすめられている。自治体のごみ処理も都市公社がバイオマス工場に委託して、生ごみや緑のごみを電気やガスに転換して高度利用をすすめています。
ドイツ全体では電気の25%が再生可能エネルギーになり、風力、バイオマス、水力、太陽光の順になっているが、太陽光が急速に伸びていて、再生エネルギーの発電主体は自治体も参加する協同組合方式が主体となっています。
こうしてドイツでの取り組みがすすんでいるのは、脱原発、脱化石燃料という目標がはっきりしていて、地域単位でエネルギー自立地域をつくるという運動形態があり、保守から革新までの広範な社会的合意が形成されているからです。
日本の現状は20年遅れているが、ドイツに比較して技術的な遜色はない。日本でも原発ゼロ、自然を資源とした循環型社会は可能。ドイツにできて日本にできないことはないと林さんは結びました。