季刊 自治と分権

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No.87 /
2022.03

季刊 自治と分権 87号

 SDGs(Sustainable Development Goals-持続可能な開発目標)は、2015年に国連で採択された目標です。2030年を期限として「誰一人取り残さない社会の実現」をスローガンに、「世界を持続可能かつ強くしなやかな道筋に移行させる」として、「貧困と格差の是正」「気候変動の打開」「ディーセントワークの実現」「平和で公正な社会」「ジェンダー平等の実現」など17の目標をかかげています。
 一方で、SDGsは目標の達成基準や達成への責任の主体は不明確です。日本政府はSDGsを「地方創生」戦略に取り込んでいますが、「実施方針」(2019改訂版)では、「貧困の解消」や「格差の是正」にはふれていません。また政府と財界は、SDGsの名のもとに「society5.0を実現する」としてプライバシー権を侵害する「スーパーシティ構想」を進めたり、「脱炭素・クリーンエネルギーを実現する」として原発を推進しています。SDGsの名のもとに現在行われている諸施策については検証が必要です。本号では、国連が進めるSDGsの現状と課題について考え、真に持続可能な社会への道筋を探求します。

87号は、特集が「SDGsを考える ~持続可能な社会への探求」。

 対談では、岡田知弘氏(京都大学名誉教授・京都橘大学教授)と傘木宏夫氏(NPО地域づくり工房代表理事・環境アセスメント学会常任理事)に、国連がかかげるSDGsをどうとらえるか、国や自治体、企業のSDGsの取り組みをどう見るか、真に持続可能な地域社会への道筋などについて語っていただきました。

 随想は晴山一穂氏(専修大学・福島大学名誉教授)。前世紀から連綿と続いてきた「政治主導」の流れは、いま、自らが生み出した危機的状況を前に大きな転換を迫られていると。

 首長インタビューは、兵庫県宝塚市・山﨑晴恵市長。豊かな文化や自然を生かし、市民誰もが平等で、尊重されるまちづくりを進めています。コロナ禍で独自の生活支援策、再生可能エネルギーと環境保全の取り組み、憲法9条と平和、市政への思いなどを語っていただきました。

 シリーズ自治の歴史と文化は、小平千文氏(上田小県近現代史研究会会長)に、長野県の上田自由大学について執筆いただきました。地域の青年たちによって自分づくりを求めて、働きながら学び続ける世界に類を見ない日本初の社会教育機関として創設された上田自由大学。大正デモクラシーによる「自由・平等」「個性の尊重」や「社会改造」という考えを力に新しい時代を切り拓き、2021年11月1日に創設100年を迎えました。

「季刊 自治と分権」87号の内容は下記のとおりです。

 

 1) 随想  「政治主導」がもたらしたもの    晴山一穂(専修大学・福島大学名誉教授)

 2) 首長インタビュー       兵庫県宝塚市長  山﨑晴恵さん

                   インタビュアー  山口真実(弁護士・「自治と分権」編集委員) 

 3) 特集  SDGsを考える ~持続可能な社会への探究

    ●対談 「SDGsを考える -持続可能な地域社会への道筋」

        岡田知弘(京都大学名誉教授・京都橘大学教授)

        傘木宏夫(NPО地域づくり工房代表理事・環境アセスメント学会常任理事)

   ●特集論文

   「SDGsをどうみるか」           牧野広義(阪南大学名誉教授)

   「気候危機とグリーン・ニューディール -日本の課題と、自治体に求められること」

                          明日香壽川(東北大学教授)

 4) 論文 

「特定防衛施設周辺整備交付金にみる防衛省による自治体支配の深化」 

                          川瀬光義(前・京都府立大学教授)

5) 現場レポート

「市民と野党の共同の運動が切り開いた新しい横浜市政」

                          政村 修(神奈川自治労連書記長)

「低賃金で不安定雇用! アンケートに見る学童保育指導の実態」

                          平松ゆう子(自治労連非正規公共評・学童保育全国連絡会)

 6) 弁護団レポート  「デジタル法と自治体DX推進計画への自治労連弁護団の取り組み」 

                          大河原壽貴(弁護士)

 7)  自治の歴史と文化 第8回  「上田自由大学-地域の青年の手で立ち上げた自己教育運動」

                          小平千文(上田小県近現代史研究会会長)

 8)  ブックレビュー

 9)  自治体日誌