季刊 自治と分権

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No.60 /
2015.06

季刊 自治と分権 60号

 「戦後日本の地方自治」をテーマにおこなった、宮本憲一・猿橋均対談は、公務労働者が持っている「特殊性・全体制」といったものが、捉えられづらくなっている今、宮本先生から、公害闘争、自治研活動などの実践を通じて、自治体・公務公共労働者の本来的役割が語られました。政府の言う「国益」のもとに、住民生活がないがしろにされている今日、必読の対談です。
 ないがしろにされているもののひとつが、人間の尊厳を保障する社会保障の自己責任化と切り捨て政策。戦後の日本において、どのように社会保障が位置付けられてきたか、歴史を振り返りながら、社会保障のあるべき姿と、運動的課題を丁寧に解説した柴田英昭論文。戦争する国づくりと、社会保障充実の両立はあり得ません。
 首長インタビューに登場した、稲本内子町長は、子どもたちに一流の文化を、農家の主婦を経営の主人公にと、住民一人ひとりが輝く政策に力を注いでいます。戦争経験者による体験記録を若者に継承する活動は、歴史認識を正しく後世に伝えるもの。

「季刊・自治と分権」60号の内容
(1)随想 労働者階級の状態と社会運動 河合克義(明治学院大学教授)

(2)首長インタビュー 55 未来への地方自治
住民の学習を基礎に住民主体のまちづくりを追求
稲本隆壽さん(愛媛県内子町長)

(3)特集 戦後70年と地方自治
①【対談】戦後日本の地方自治――新自由主義と自治研運動――
宮本憲一(滋賀大学・大阪市立大学名誉教授)VS 猿橋均(自治労連委員長代行) 
②憲法25条と「戦争しない国づくり」 芝田英昭(立教大学教授)
③辺野古新基地建設の阻止と沖縄防衛局の審査請求問題 徳田博人(琉球大学教授)

(4)公共施設再編整備計画と東大阪での市民的取り組み 中山徹(奈良女子大学教授)

(5)平成の学制大改革と学校統廃合-地域の学校を守るために-山本由美(和光大学教授)

(6)新しい段階に入った地域医療攻撃 新公立病院改革ガイドライン 西山英利(京都自治労連執行委員)

(7)シリーズ「自治体労働者-実像に迫る」③ 福岡県大木町職員 田中美和子さん

(8)弁護団レポート/自治労連弁護団
職員給与の激変緩和措置撤廃に関する不当労働行為-鎌倉市職員労働組合事件-
川本美保(弁護士)

(9)ブックレビュー
①永田和宏『近代秀歌』『現代秀歌』 永井和彦(自治労連愛知県本部)
②川口創『「立憲主義の破壊」に抗う』 星原徹(自治労連岡山県本部)

(10)自治体日誌(3月~5月)

(11)編集後記