研究と報告

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2020.10.16

研究と報告140 日本学術会議会員任命拒否の問題点    晴山一穂(専修大学・福島大学名誉教授・地方自治問題研究機構運営委員)

 菅首相による学術会議会員任命拒否の問題は、単に学術会議や研究者だけの問題ではなく、あらゆる分野から政権に批判的な者を排除し、自分達に都合のよい政治を進めていくための権威主義的な国家体制づくり、という安倍政権以来続いているたくらみの重要な一環としてとらえる必要があります。

 自民党は、問題の本質から国民の目をそらすために、学術会議そのものに何か問題があるかの如く吹聴しながら、プロジェクト・チームを立ちあげて「学術会議問題」の検討に着手しました。私から見ると、学術会議は、予算が限られているなかで、会員の使命感あふれる努力によって、日本の学術や科学の発展に役立つ素晴らしい仕事を積み重ねてきました。そのなかに政権にとって都合の悪い内容が含まれているという理由で、ここ20年来、予算を削減し、提言をまともにとりあげず、学術会議とは別の組織を作るなどして、学術会議を冷遇してきたのが、ほかならぬ政府・自民党自身です。自らの責任を棚にあげて、逆に学術会議の活動の在り方を論難しようとする態度は、文字通り“盗人猛々しい”というほかありません。