研究と報告

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2013.04.29

研究と報告97 2012年「公の施設の指定管理者制度の導入状況調査結果」

指定取り消し等が2,415件、制度の抜本見直しは緊急の課題
      2012年「公の施設の指定管理者制度の導入状況調査結果」
2013年4月 角田英昭(神奈川自治体問題研究所)
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指定取り消し等が2,415件、制度の抜本見直しは緊急の課題
      2012年「公の施設の指定管理者制度の導入状況調査結果」
2013年4月 角田英昭(神奈川自治体問題研究所)

総務省は2012年11月6日、「公の施設の指定管理者制度の導入状況等に関する調査結果」(2012年4月現在)を発表した。これは同省が2004年と2006年、2009年に実施した概ね3年ごとの本格的な調査に続くもので、その概要は下記の通りである。
最大の問題は、指定取り消し、業務停止、期間満了取り止め(以下「指定取り消し等」)が、激増した前回調査(34→2100)よりもさらに増え2,415件になったことである。制度の創設以来9年間で4,549件にもなり、その結果、住民の福祉の向上を図るために設置された公の施設の多くが休止・廃止、民間譲渡等に追い込まれている。総務省は「制度は着実に定着している」と評価しているが、この実態は公的制度として前代未聞のことであり、制度の廃止を含む抜本見直しは緊急の課題である。 

指定管理表1

1.全体的な状況
(1)導入施設数は、前回の70,022から3,454増え73,476になった。自治体区分別では、都道府県が7,123(+241,3,5%増)、指定都市が7,641(+1,314,21%増)、市区町村が58,712(+1,899,3,3%増)で、指定都市での伸び率が高い。
(2)指定管理者別では、公共的団体(40%)が最も多く、次いで財団・社団法人(26%)、株式会社(17%)となっている。公共的団体、財団・社団法人の比率は前回より若干減少している。これは同団体の再編・統合が進んでいるためと思われる。その一方、株式会社は着実に増え、件数は前回比で23%増である。NPOも件数は少ないが23%増となっている。
(3)この3年間に新規導入された施設数は、前回調査時からの増加分3,454に指定取消し等の2,415から再指定分を除いた分を加えた数と考えられ、それから推定すると5,532になる。件数、伸び率は減少しているが、相変わらず多くの施設に導入されている。
(4)公の施設への導入率は、都道府県分のみ公表されており61%(7,123/11,624)、公営住宅を除くと50%(2,352/4,699)である。指定都市、市区町村、施設種類別にも導入状況の把握が必要であり、それにより自治体の運用方針が明らかになる。
(5)公募は32,214(44%)と前回調査時より件数、率とも若干増えている。自治体区分別では都道府県、指定都市は63%と高いが、市区町村は39%と低い。それは小規模市町村の場合、参入事業者(応募者)が少ない、限定されるためと思われる。選定基準の内容では、「施設のサービス向上」(95%)、「団体の業務執行能力」(94%)、「管理経費の節減」(92%)となっており、前2項目は基本要件であり、現実的には管理経費の縮減が重視されている。
(6)従前の管理受託者・指定管理者が引き続き指定管理者になった施設数は57,898(79%)で、件数、率とも若干増えている。都道府県、市区町村は約8割と高いが、指定都市は66%と若干低い。
(7)指定期間は、5年が41,132(56%)で最も多く前回比+7991(24%増)、3年は16,389(22%)で前回比-6455(28%減)、件数、率とも大幅に減少している。6~9年、10年以上も件数、率とも若干増えており、指定期間は全体的に長くなっている。
(8)選定基準、選定手続き、選定理由の公表については、相変わらず50%前後と低く、手続き的な民主主義、透明性の確保が求められる。
(9)労働法令の遵守、雇用・労働条件への配慮規定の提示では、全体では61%、都道府県は85%、指定都市は84%と高いが、市区町村は55%と低い。
  なお、今回の調査項目は、2010年12月の総務省自治行政局長通知等を踏まえて、指定期間の変更
状況、選定基準、リスク分担、労働法令・雇用等の遵守・配慮規定等が追加され、調査結果も指定
取消し等の個別事例も公表されるなど改善されており、評価できる。

2.指定取り消し等の状況
(1)指定取り消し等の自治体区分、施設種別、指定管理者別の状況
指定取り消し等の件数は、前回調査時(2100件)より315も増え2,415件になっている。自治体区分別にみると、都道府県が607件(+288、90%増)、市区町村が1,724件(+361、26%増)に増え、指定都市は84件(-334、80%減)と減になっている。都道府県の大幅増は、指定管理者(団体)の合併・解散(再編)、施設の民間譲渡等の増加によるもので、指定都市の大幅減は公営住宅の管理代行制度への移行分の減少(期間満了取り止め344→0)等によるものである。
施設分野別では、文化教育施設が474件(+199、72%増)、産業振興施設が318件(+101、47%増)、社会福祉施設が503件(+122、32%増)、レク・スポーツ施設が471件(+91、24%増)と増え、基盤施設は649件(-198、23%減)と減になっている。文化教育施設の大幅増の理由は、民間譲渡、休止・廃止等の増加によるものである。基盤施設の大幅減は、公営住宅の管理代行制度への移行減(588→296)に伴うものである。
指定管理者別では、公共的団体が1,028件(+302、42%増)、株式会社が299件(+65、28%増)、NPOが46件(+21、80%増)と増え、財団・社団法人は789件(-9、1%減)、公共団体は19件(-8、30%減)と減になっている。公共的団体が引き続き多いのは、人的、経営的基盤の弱い団体が多いためと思われるが、自治体の制度運用、管理者の選考のあり方も問われる。

(2)指定取り消し等の理由とその後の管理の状況
指定取り消し等の理由では、施設の休止・廃止が509(21%)と最も多く、次が民間譲渡等の473(20%)で、両方で982になり4割を超える。ここに自治体側の意図、思惑が端的に表れている。さらに指定管理者の合併・解散が268(11%)、経営困難、業務不履行、不正も196(8%)あり、これらの理由を合わせると約6割にもなる。その結果、直営(業務委託も含む)に戻す施設も632(26%)あるが、統合・廃止、休止、民間譲渡・貸与等となった施設は、その倍近くの1,150(48%)にもなる。再指定は337(13%)と少ない。

指定管理表2-4

指定管理表5

指定管理表6

*統廃合・譲渡等には、施設の統合、廃止、民間等への譲渡・貸与を含む。再指定には、直営の後の再指定も含む。

*管理代行制度とは、公営住宅の目的、趣旨、運用の基本方針などを踏まえ、公営住宅法を改正し、管理者を地方
公共団体と地方住宅供給公社に限定し、管理を代行させる制度である。2006年4月に施行された。

(3)社会福祉施設、文化教育施設の状況
では、住民に身近な社会福祉施設、文化教育施設では、どのような状況になっているのか。
まず、指定取り消し等の理由では、施設の民間譲渡等が165(33%)、175(37%)と最も多く、次いで施設の休止・廃止が149(30%)、108(23%)で、指定管理者の合併・解散、経営困難等を合わせると社会福祉施設は70%、文化教育施設は69%にもなる。
その結果、直営(業務委託も含む)に戻す施設は社会福祉施設、文化教育施設で114(23%)、138(29%)あるが、統合・廃止、休止、民間譲渡・貸与等となった施設は、それぞれ355(71%)、308(65%)にもなる。再指定はわずか34(6,7%)、28(5,9%)で、再度指定管理者制度を適用すると言う選択肢、考えは殆どない。

 指定管理表7-9

以上が、この間の調査結果から明らかになった指定管理者制度の導入実態である。総務省も2度にわたって是正通知を出しているが、改まるどころか更にひどくなっている。制度を主導してきた総務省の責任も大きいが、自治体側の姿勢、制度運用、参入団体・事業者のモラル、経営実態が厳しく問われる。端的に言えば指定管理者制度は事実上破綻しており、実態的には行政による公の施設の仕分け、再編・整理の便宜的な手法になっている。
こうした事実を利用者・住民、議員、関係団体に知らせ、世論を喚起し、適用施設の限定、制度廃止も含めた抜本見直しを進めていくことは緊急の課題である。早急に運動を強めていきたい。
なお、制度全般の検証と社会福祉施設、文化教育施設の適用除外に向けた法改正の提案(個別法で管理主体を明記し、自治体の管理(業務委託も含む)に戻す)等については、拙著「今こそ指定管理者制度の抜本見直しを~制度運用の検証と法改正向けた提言」(2011年3月・神奈川自治体問題研究所)をお読みいただきたい。