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2013.08.03

本当に恐ろしい自民党改憲草案 ナチスの手口厳重警戒

ナチスの手口学んだら…憲法改正で麻生氏講演、マスコミ一斉の報道。
 麻生副総理は7月29日都内で開かれた講演会の中で憲法改正について、「狂騒、狂乱の中で決めてほしくない。落ち着いた世論の上に成し遂げるべきものだ」と述べ、ドイツでかつて最も民主的と言われたワイマール憲法下でヒトラー政権が誕生したことを挙げ、「ワイマール憲法もいつの間にかナチス憲法に変わっていた。あの手口を学んだらどうか。(国民が)騒がないで、納得して変わっている。喧騒(けんそう)の中で決めないでほしい」と語ったと読売新聞(7月30日オンライン)などが一斉に報じました。

安倍首相、シンガポール首相に集団的自衛権の議論に理解求める
 安倍晋三首相は26日、シンガポールでリー・シェンロン首相と会談し、日本国内での憲法改正論議や集団的自衛権の行使容認の検討状況について説明し、理解を求めたとのことです。しかも、集団的自衛権については「日米同盟や地域の平和と安定に貢献していく観点から検討を進めていく」と語りました。(時事通信7月26日)

季刊自治と分権52号では憲法特集

こうした改憲への暴走をゆるしてはならないと、全国で自民党改憲草案そのものを使って憲法を学ぶ取り組みが広がっています。
 季刊自治と分権52号では、「九条の会ひがしなだ(神戸)」が主催した連続学習講座での石川康宏・神戸女学院大学教授の講演をもとにした、「ひどすぎる改憲案が改憲勢力のなによりの弱点」の論文が掲載されています。
 自民党のものを読みたくないという気持ちもわかりますが、ひどすぎる改憲案そのものを読んでみましょうと前置き。随所に天皇中心とした復古調や靖国派の独特の表現や考え方が埋め込まれています。同時に戦前に回帰するような表現と内容に対する、グローバル経済展開をねらう財界の、中国や東南アジアの経済成長を取り込もうとしている新自由主義的立場や対米追随勢力との内部矛盾が、自民党を中心とする改憲勢力内部にあると指摘されています。

また民主党に裏切られたと失望し、かといって自民党には戻りたくないという広範な国民や、原発再稼働反対などで立ち上がっている若い世代や女性との連帯した運動を発展させることが改憲を許さない新たな運動を発展させると展望を語りました。そのためにも、ツイッターやフェイスブックなどネットを使っての運動にも習熟していきましょうと提起されました。(写真は九条に会ひがしなだで講演する石川康宏神戸女学院大学教授)

石川先生憲法講座神戸

 

 

 

 

 

 

東大九条の会緊急講演会「いま改憲論議を問い直す」 小森陽一先生が講演

 7月3日東大駒場キャンパスで東大九条の会緊急講演会が開催され、小森陽一東大教授と渡辺治名誉教授がそろって講演され、学生だけではなく市民も多く参加しました。
小森先生は、6月14日の上智大学での96条の会発足記念シンポジュームが主催者の予想を大きく超えて第9会場まで満席になったこと。試合前にルールを変える、裏口入学と同じとの小林節慶大教授の言葉を紹介。改正手続きの緩和は立憲主義を壊してしまうもの。
自民党改憲草案を示して、各条をきちんと読んでみることが必要で、表面的な復古調の面だけでなく改憲基調がグローバル資本主義の中の新自由主義国家づくり、戦争国家づくりであることを見抜く必要があると強調。改憲案で「個人」という言葉が「人」に変えられた。これは近代憲法が成立するなかで歴史的に勝ち取られた「個人」が投げ捨てられたもの。戦争をする国家は個人の基本的人権と人間の尊厳を踏みにじると具体的に批判しました。(写真は東大九条の会で講演する小森陽一東大教授)

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資料として自民党改憲草案の第9条をお示しします。
戦争する国がいかに国民の基本的人権を侵害するのものかは、第9条の二の第五項の「国防軍審判所の規定」にも出ています。これに対する自民党が公表しているQ&Aも資料としてつけておきます。(自民党本部のホームページから全文入手できます)

自民党憲法改正草案表紙

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

国防軍

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

軍事裁判所

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

Q10自民パンフ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

Q11自民パンフ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

自民党改憲草案によれば、国防軍になった軍隊はアメリカの世界戦略に基づく、国際的な軍事展開も「集団的安全保障における制裁行動について」参加可能としています。

また、軍事裁判所が設置され、裁判官も弁護士も軍人の中から選ばれ、戦争遂行を妨害していると見なされる国民や、特に公務員には大変強い包括的機密保全義務が課せられることになります。

官邸前に集まって戦争反対などということは許されないのではないでしょうか。自民党改憲草案では第99条で緊急事態宣言の規定も置かれ、「戒厳令」が発令されると国民には何がおきているのか分からないまま、国防軍による戦争だけがどんどん拡大することもありえます。(Q&Aは自民党本部作成のものです)

(自治労連専門委員 今西清)