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2013.07.09

原発再稼働 地域住民や関係自治体の理解不可欠 全国知事会が提言

7月8日全国知事会議(松山市)は、原子力発電所の安全対策について協議した。各知事からは「再稼働を最終決定するまでの具体的な手続きや国の姿勢が不明確」との意見が相次いだ(7月8日時事通信)。9日にまとめる提言案は「全国に立地している原子力施設の安全確保が何よりも重要」と指摘。再稼働の判断に当たっては、地域住民や関係自治体の理解を得た上で行うよう要望する。

原発再稼働 地域住民や関係自治体の理解不可欠 全国知事会が提言
 7月8日全国知事会議(松山市)は、原子力発電所の安全対策について協議した。各知事からは「再稼働を最終決定するまでの具体的な手続きや国の姿勢が不明確」との意見が相次いだ。(7月8日時事通信)9日にまとめる提言案は「全国に立地している原子力施設の安全確保が何よりも重要」と指摘。再稼働の判断に当たっては、地域住民や関係自治体の理解を得た上で行うよう要望する。
原発の新規制基準は7月8日施行され、北海道、関西、四国、九州の4電力会社が原子力規制委員会に計4原発10基の運転再開に向けた安全審査を申請した。
8日に申請された原発は、北海道電力泊1~3号機(北海道)、関西電力大飯3、4号機(福井県)と高浜3、4号機(同)、四国電力伊方3号機(愛媛県)、九州電力川内1、2号機(鹿児島県)のあわせて10基。さらに、九電が玄海3、4号機(佐賀県)、東京電力も柏崎刈羽原発6、7号機(新潟県)を申請する方針を示している。
 現在、国内に50基ある原発のうち大飯3、4号機だけが稼働しているが、9月の定期検査で停止するため、2012年7月以来、再び原発ゼロが到来する。関電は定期検査以降の再稼働に向けて申請した。
 7月8日の毎日新聞によると、規制委は申請を受け、3チーム80人態勢での審査に着手した。福島第1原発事故のような深刻な事故を防ぐための対策や地震・津波対策が基準に適合しているか、複数の原子炉を同時並行でチェックする。審査の順番は、申請書類の整備状況で変わる。審査期間は、半年程度かかるとされている。その後、政府は地元自治体の同意状況をにらみながら、再稼働の可否を判断する。しかし、防災対象地域が半径30キロ圏に拡大。再稼働のためには多くの自治体の同意を得る必要がある。
 嘉田由紀子知事は、関西電力などの申請については「放射性廃棄物の問題が解決しておらず、次世代へのつけ回しでいいのか。国が責任を持って出口を示してほしい」とし。東京電力も再稼働の方針を示していることに対し、「『事故原因の究明もできていないのに納得できない』という泉田裕彦・新潟県知事の姿勢に共感する」と話したと産経新聞(7月9日)は報じている。
福島民報(7月9日)は、北海道電力など4社が5原発10基の再稼働に向け国への安全審査申請に踏み切った8日、東京電力福島第一原発事故で避難などを強いられている県民からは「まだ原発事故が収束していないのに」「福島の悲惨な状況を忘れ去られているのか」と批判の声が上がっていると報じている。

原子力発電所の安全対策及び防災対策に対する提言 概要
   全国知事会 

はじめに
東京電力株式会社福島第一原子力発電所事故から2年余りが経過したが、依然として周辺住民は避難生活を余儀なくされている状況にあり、早期の事態収束に向け、国や事業者が一丸となって取り組む必要がある。こうした中、全国に立地している原子力施設の安全確保が何よりも重要な課題となっており、原子力規制委員会においては、新たな規制基準に基づき厳格かつ迅速な安全審査を行うとともに、その結果について、地域住民はもとより、国民全体に明確かつ責任ある説明を行うことが強く求められるところである。
また、原子力防災対策については、国が前面に立って継続的に充実強化を図るとともに、地方公共団体が講じる対策について、必要な予算を確保し、早急に体制の整備を図ることが必要である。
国民及び国土の安全確保のため、原子力施設の安全対策や防災対策の強化を図り、事故は起こり得るものとの前提に立ち、あらゆる対策を講ずることが重要であり、現時点において、国が責任を持って早急に取り組むべき事項について、次のとおり提言する。

2 国民理解に向けた取組及び地方公共団体への説明責任について
新規制基準の策定など原子力安全規制の取組状況や安全性については、原子力規制委員会が責任を持って、国民及び地方公共団体に対し、明確かつ丁寧な説明を行うこと。
特に、新規制基準において、猶予期間が設けられた対策については、その理由を明確に説明すること。
また、原子力発電所の再稼働の判断にあたっては、安全性やエネルギー政策上の必要性等について、丁寧に国民に説明するとともに、個別の発電所の取扱いについて、議論を尽くした上で、国の責任のもとに判断し、前面に立って公開の場で十分な説明を行い、地域住
民及び関係地方公共団体の理解を得ること。
さらに、原子力施設における事故やトラブルの情報については、国が国民及び地方公共団体に対する説明責任を十分に果たすこと。